医療の未来を拓く「オンライン診療」の多様なカタチ〜分類から導入の流れ・システム選定のポイントまで〜
2026.09.10
オンライン診療 D to P with N
スマートフォンやタブレットを通じて自宅から医師の診察を受ける——そんな「オンライン診療」が急速に身近なものとなっています。しかし、現在の医療現場で進化を遂げているオンライン診療は、単なる「患者と医師の1対1のビデオ通話」にとどまりません。
専門医同士の助言や手術支援を行う「Dr to Dr(D to D)」、さらには看護師や主治医が診療をサポートする多様な形態が存在し、地域医療の格差解消や医療の質向上を支えています。
本記事では、オンライン診療の主要な分類とその役割を紐解くとともに、医療機関が導入する際に押さえておくべき準備やシステムの選び方について解説します。
1. オンライン診療・遠隔医療の主な分類
オンライン診療・遠隔医療は、接続する対象や目的に応じて大きく4つの形態に分けられます。
① 基本形:D to P(Doctor to Patient)
・概要: 医師(Doctor)と患者(Patient)が直接通信機器を介して接する、最も一般的なオンライン診療形態です。
・特徴: 自宅や外出先から受診できるため、通院にかかる移動負担や感染症リスクの低減に大きく貢献します。生活習慣病の定期観察や軽微な症状の再診、精神科領域などで広く活用されています。
② 医療連携・症例検討:D to D(Doctor to Doctor)
・概要: 医師同士が情報通信機器を用いて連携する形態です。診療そのものを遠隔で行うというよりは、医療カンファレンスや画像診断、手術支援などの高度な医療連携を目的とします。
・特徴: 地方の病院と都市部の大学病院等を結び、放射線画像や病理組織のダブルチェック、専門医による難症例の助言、高度な遠隔手術指導(遠隔手術支援)を実施します。地域による医療格差を埋める要となっています。
③ 看護師が寄り添う:D to P with N(Doctor to Patient with Nurse)
・概要: 患者のもとに訪問看護師などの看護職(Nurse)が同席し、遠隔地にいる医師(Doctor)がオンライン診療を行う形態です。
・特徴: 操作に不慣れな高齢者や重症患者でも安心して受診できます。看護師がバイタル測定や状況報告を行うほか、医師の指示のもとで採血・点滴・処置などの医療行為をその場で実施できるため、在宅医療やへき地医療の重要な選択肢として診療報酬上の評価も拡充されています。
④ 主治医と専門医がタッグを組む:D to P with D(Doctor to Patient with Doctor)
・概要: 患者のかかりつけ医(Doctor)が診療に同席しながら、遠隔地にいる別の専門医(Doctor)とつないで診療を行う形態です。
・特徴: 指定難病や希少がん、特殊な専門知識を要する疾患において、患者が遠方の大学病院等へ移動することなく、地元のかかりつけ医の元で専門医のセカンドオピニオンや高度な診療を受けられる仕組みです。
2. オンライン診療の導入に必要な準備
さまざまな形態を持つオンライン診療ですが、安全かつ円滑に運用を開始するためには事前準備が欠かせません。
・通信環境と機器の選定
リアルタイムで映像と音声を双方向かつ安定してやり取りできる機器(PC、タブレット、スマホ等)やネットワーク環境を整えます。メールやチャットのみで診療を完結することはできません。
厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」
・規定内容: オンライン診療は「リアルタイムの視覚・聴覚情報を得られる通信手段(動画・音声の双方向通信)」で行うことが必須要件とされています。
・明文規程: 同指針において、「文字、写真および録画動画のみのやりとりで完結させてはならない」と直接明記されています。
・セキュリティ・医療情報保護への対応
患者様の個人情報や高度な医療情報を扱うため、暗号化通信(SSL/TLS等)やアクセス制限などを備えたセキュリティ強度の高いシステム選定が必要です。
・制度への対応と研修の受講
診療を行う医師には、厚生労働省が定めるオンライン診療研修の受講が求められています。また、保険診療として実施する場合には施設基準の届出が必要となるため、最新の制度要件を確認しておきましょう。
3. 導入のメリットと運用の工夫
導入の大きなメリットは、移動時間や地理的制約を緩和し、患者様の通院負担を大幅に軽減できる点にあります。医療機関にとっても、従来の対面だけではアクセスが難しかった患者様へ柔軟に診療を提供する道が開かれます。
一方で、すべての診療をオンラインで代替できるわけではありません。触診や精密検査、処置が必要なケースでは迅速に対面診療へ切り替えられる体制づくりが不可欠です。
予約から本人確認、診療、対面への切替ルール、診療情報の管理にいたるまで、厚労省が公開している医療機関向けチェックリスト等を活用しながら、実際の院内オペレーションに合わせた手引きを整えておくことが成功の鍵となります。
4. システム選びのポイントと「KizunaWeb」のご紹介
システムを選定する際は、医師・スタッフ側の操作性だけでなく、「受診する患者様や連携する医療従事者にとっても負担が少ないか」という視点が極めて重要です。
たとえば、専用アプリのインストールや複雑な会員登録を求められる仕様は、スマートフォンの操作に不慣れな患者様にとって大きな壁となり得ます。Webブラウザから容易に接続できる仕組みであれば、利用開始までの心理的・技術的ハードルを大きく下げることができます。
また、D to DやD to P with N/Dといった多様な診療スタイルに対応するためには、「多拠点接続機能」や、検査画像・カルテ等の資料をリアルタイムで画面共有できる機能の有無も重要な判断基準となります。
幅広い遠隔医療の可能性に応えるソリューション「KizunaWeb」
患者様と一対一で行う日常的なオンライン診療から、多拠点をつなぐ高度な医療連携・カンファレンスまで、あらゆるオンライン医療のカタチに寄り添うシステムとしておすすめしたいのが、ボーダレス・ビジョン株式会社が提供する「KizunaWeb」です。
・直感的な操作性: 専用アプリのインストールや面倒な事前登録は一切不要。医療施設から送信されたSMSのリンクをタップするだけで、手軽にブラウザ上で診療を開始できます。
・厳格なセキュリティ管理: SSL/TLSによる暗号化通信に対応し、大切な医療情報や個人情報を保護する堅牢な運用環境を提示します。
・高度な連携を支える機能群: 検査データや資料のリアルタイム画面共有機能に加え、専門医や看護職を交えた多拠点接続にも標準対応。遠隔地の医療関係者と強固な連携を築くリアルタイムツールとしてもご活用いただけます。
まとめ:地域医療を根底から支えるインフラへ
オンライン診療は、単なる「通院の簡略化ツール」ではありません。D to Pをはじめ、D to DやD to P with N/Dといった多角的なネットワークを構築することで、医療資源の偏在を克服し、誰もがどこにいても適切な医療を受けられる社会を実現するための強力な医療インフラへと進化を続けています。
自院の診療体制や地域のニーズに寄り添うシステムを取り入れ、持続可能で質の高い医療環境の構築を目指してみてはいかがでしょうか。